大判例

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東京地方裁判所 昭和29年(ワ)2372号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕参加人は所有権に基いて被告等三名に対し本件三棟の家屋の明渡を求めたが、被告等のうち二名は前々主赤松元太郎から本件第一及び第二の家屋を借受けて同人に使用され、その事業が原告に引継がれた後昭和二六年から賃料一カ月二〇〇円で賃借して来たものであり、他の被告一名は原告に入社した後昭和二七年三月から第三の家屋を一カ月二〇〇円の賃料で賃借して来たものであるから、この賃貸借関係を以て新所有権者たる参加人に対抗し得ると抗弁した。

判決は、まず被告等のうち二名が赤松某及び原告の従業員として従来から本件建物のうちそれぞれ一棟を無償で使用することを認められていたこと、ところが原告は後になつて、かように建物を無償で使用させることは従業員に対する現物給与となつて脱税の疑があり好ましくないということで、昭和二六年頃から、従業員中妻帯者に対しては住宅手当の名義で一様に一カ月二〇〇円ずつを支給することとし、社宅を使用している従業員からは形式上家賃名義で建物の如何を問わず一律に一カ月二〇〇円の手当額だけ取立てることにしたこと、右一カ月二〇〇円の額は当時の一般家賃に比しはるかに低額であつたこと、他の被告一名も昭和二七年二月頃原告の従業員として本件建物のうち一棟の使用を認められ、家賃名義で同額を支払つて来たこと、被告等は昭和二七年七月頃いずれも退職し従業員の身分を失つたこと、本件建物は原告方構内か又はその附近にあるいわゆる社宅で、原告の従業員のみが使用できる建前であり、従つて被告等と同時に退職した四名の従業員はいずれも退職と同時に社宅を立退いたこと、以上の事実を認定したうえで、「右認定の事実によると、家賃一カ月金二〇〇円というのは名義のみで建物使用の対価ではなく、したがつて被告等の本件建物の使用関係は賃貸借に該当せず、むしろ被告等が原告の従業員たる身分を有する期間を限つた使用貸借であると認めるのが相当である。してみると被告等の退職と同時に、本件建物の使用貸借は終了し、被告等は建物使用の権限を失つたものといわなければならない。」と判示して、被告の抗弁を斥けた。

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